申武館剣道場ブログ

栃木県宇都宮市の申武館剣道場の様子をリポートします

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初代館長先生の思い出

Author: tsurugi

今日は暖かい一日となりました。春を先取りしたような季候です。剣道の稽古には寒くもなく、暑くもないよい季節がやってきます(^^)。・・・ですが、花粉だけはどうにもならないようです。花粉症の方にはすこしつらい季節です。

今日はつるぎも稽古はありませんでしたが、残業で帰宅は午後8時をまわってしまいました。それでも稽古のある日は午後10時前には帰れませんのでゆっくりできました(^^)。

先日、石井さんのタイへの赴任の話をブログに書き込みさせていただきましたが、「タイと申武館道場」、実はある関係があったことをふと思い出しましたので、忘れないうちに書き込みます(^^)。

それはつるぎの剣道の師でもあった初代館長、故佐藤竹志先生のエピソードです。先生は8年前に亡くなりましたが、つるぎは何かと話を聞く機会がありました。その中の話です。・・・今から60年以上も前、日本はアメリカやイギリス・中国などの国と戦争をしました。佐藤先生も当時20代の若者、日本軍の兵士として今のタイとミャンマーの国境付近へ戦争に行ったそうです。そう、戦争へ行ったのです。当時タイやミャンマーにはイギリスの軍隊がいました。命がけの戦いです。

 あるとき、谷の上から谷下の道を見張っていると、イギリス軍の補給部隊が見えたそうです。そして・・・谷の上から銃を使って攻撃をしかけました。もちろん相手は攻撃されるとは思っていなかったようです。

CIMG0118

 

  旧足尾町にあった「申武館」での佐藤先生

  (昭和の初め頃の一枚)

 

 

 

 イギリス軍は全滅状態、兵士の死体もあちらこちらに。いつ死ぬかわからない戦争中です。食べ物や着る物も足りないでしょうし、病気や暑さそして殺すか殺されるかという怖さもあります。そんな状態の中です。佐藤先生がふとイギリスの兵士の死体をみると懐にはお札がたくさんあったそうです。ふと心の中に、このお金をいただいてしまおうか?という気持ちが出てきたそうです・・・しかし、寸前のところで「死者に対してお金を奪うということは人としてやはり悪いことである」と思いとどまったそうです。もしお金を取ったとしても、「戦争なんだから」とか、「敵だから」とか、「死んでいるのだから」とか言い訳はできたでしょう。でも佐藤先生は取らなかった。だからつるぎにも自信を持って、「お金はとらなかったよ」と話せたのでしょう。

 今思うと佐藤先生は小学生の時から剣道をやっていたから、どんなときでも「悪いことは悪い」と思ったと思います。剣道は「礼儀」が重んじられます。武士は命をかけて戦うから相手に礼をつくし、正々堂々と戦おうとします。剣道も勝っても負けてもお互いに礼をして終わります。こうした精神を佐藤先生はきっと戦争という中でも忘れなかったのだと思います。そしてその後、日本は戦争に負けました、佐藤先生はタイの山の中で敗戦を迎えました。しかし、いつでもまた戦えるようにと油紙(水をはじく紙)で、自分の銃を包んで地面に埋めておいたそうです。(よく「タイの山を掘ったら自分の銃が今もあるかも知れないな~」と話していました。)負けただけではありません。イギリス軍につかまり捕虜として、タイのイギリス軍の施設で厳しい生活を1年ほど過ごし、そして足尾の家族の元にようやく帰れたそうです。そのとき家族は「死んだ竹志が帰ってきた!」と喜んだそうです。きっと佐藤先生はこうした経験もあり、子どもたちに剣道を学ばせたいと宇都宮に申武館を再建したのでしょう。

そして、今は時代が変わりました。もう命をかけて戦争する時代ではありません!今はみんなの幸せのために、海外へお仕事に行くのです。今、日本の会社や日本人がつくった製品は海外でも喜ばれています。きっとタイの工場で作られる製品もインドなど他の国に輸出され、その国の人のために役立っているはずです(^^)。戦争ではなく平和のために役立っているのです。

きっと石井さんがタイに行くという話しを、佐藤先生が聞いたらきっと喜んだに違いありません(^^)/。石井さんは年代的にもちろん佐藤先生を知らないわけですが、タイと申武館、そして佐藤先生と今の申武館には目に見えない不思議な縁がありました。

つるぎも忘れかけていたことがなぜか鮮明に思い出され、「初代館長先生がどこかで今も申武館を見守り、そして石井さんのタイへの赴任を喜んでいるのかなぁ~」と考えるのでした(^^)。

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